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航空機配線(EWIS)の安全性設計

  • 執筆者の写真: 宏昌 平井
    宏昌 平井
  • 2025年12月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月15日

航空機の安全性において、配線(EWIS: Electrical Wiring Interconnection System)は長らく「機器をつなぐ補助的な存在」として扱われてきました。しかし、1998年に発生した Swissair111便事故 を契機に、世界の航空業界は配線のリスクを再認識することになります。そのため、配線(EWIS)の安全性設計が重要になってきています。

 

Eye-level view of a modern data center with advanced security systems
航空機配線でアークが発生した時、同一ワイヤハーネスの電線も損傷し、重要なシステムに影響を及ぼす

航空機配線について


 航空機の配線(EWIS: Electrical Wiring Interconnection System)は、人間の血管や神経に相当し、航空機の電気電子システムの動力となる電力を供給したり、機体の各種センサからの信号を制御コンピュータに伝えたりする重要な役割を果たしています。それにもかかわらず、配線(EWIS)は長らく「機器をつなぐ補助的な存在」として扱われてきました。

 しかし、1998年に発生した Swissair111便事故 を契機に、世界の航空業界は配線のリスクを再認識することになります。事故調査の結果、エンターテイメントシステムの配線で発生したアークによる火災によって近接する操縦関連の重要な配線(ワイヤハーネス)が損傷し、操縦不能になったことが判明しました。この調査結果を受け、運用中の航空機の配線も調査した結果、ずさんな整備等により、多くの航空機が危険な状況にあることが報告されました。


配線(EWIS)の法制化


 この報告を受け、米国では2007年11月FAA FAR Part25 Subpart Hとして新レギュレーションが発行されました。日本では2008年2月耐空性審査要領第8章として発行されています。 EWIS に関するレギュレーションでは、配線を「一つのシステム」として扱う考え方が導入されました。

その結果、航空機設計においては以下のような安全性設計が必須となりました。

  • 配線ルートの安全性確保(熱源・可動部・燃料系からの隔離)

  • ハーネスの固定方法・摩耗対策の強化

  • 電源系統との整合性を考慮した保護デバイスの適切配置

  • 冗長系配線の分離配置による共通原因故障の防止

  • 長期使用を前提とした劣化・損傷リスクの管理

航空機の電子化が進む現代では、配線は単なる“導線”ではなく、 機体全体の安全性を左右する重要なシステムとして扱われています。


 現代の航空機設計で求められる EWIS 安全性設計


1. 配線ルートのリスク低減

 熱源・燃料系・可動部からの隔離や摩耗・振動への対策が必要です。


2. 電源系統との整合性

 過電流保護デバイスの適切配置や負荷分散・冗長系の分離が必要です。


3. 長期信頼性の確保

 絶縁材の劣化予測や点検性・保守性の確保が必要です。


4. 共通原因故障の防止

 冗長系配線の物理的距離確保やハーネスの分離配置が必要になります。


まとめ


 航空機の配線設計を行うためには、システムの安全性についての検討結果を理解することが必要です。その上で、アークなどの単一の故障で冗長系が失われることが無いように、安全性に配慮し、部品/材料選定を実施すると同時に、慎重にワイヤハーネス構成/レイアウトを検討するのです。航空機の電線は数万本あるので、膨大な作業となりますが、我々航空機の技術者は1本1本慎重に検討し、安全性を証明することが求められています。


 
 
 

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